刺繍糸1本どりと2本どりの違い

今回は刺繍糸のお話です。

刺繍糸って、実はいろんな種類があるんです。

手芸店でよく見かけるのは細い糸が束になっているものだと思いますが、毛糸のように太いものや、縄のように撚りがかかっているものなど、いろんなタイプの刺繍糸があります。

 

 

この細い糸が束になっているタイプの刺繍糸ですが「25番刺繍糸」と呼ばれるもので、細い糸が6本束になった状態で売られています。

一般的に刺繍糸と言ったら、この25番刺繍糸を指していることが多いかなと思います。

最近、100円ショップなどで売っている刺繍糸も、この25番刺繍糸です。

 

写真はcosmoというメーカーの25番刺繍糸。

 

25番刺繍糸ですが、6本の束のまま刺繍することはあまりありません。

使いやすい長さ、だいだい30センチ~40センチくらいの長さに切ってから、糸を1本づつ分けて使います。

刺繍する時には、刺繍糸2本を合わせて「2本どり」にしたり、刺繍糸3本を合わせて「3本どり」にして使います。

 

なので、刺繍用の針って針穴が大きいんですよ。

見たことありますか?

刺繍用針の針穴は2本分や3本分の刺繍糸が通せるようになっているんですね。

こんな感じ。

 

それで、水谷が作品を作っている立体刺繍なんですが、今までは刺繍糸を2本どりにして刺繍していました。

なぜかというと、早く刺繍できて、ある程度薄い刺繍パーツができるから。

それから刺繍っぽく見えるというのもあるかな。

 

 

早く刺繍できるという意味では、刺繍糸の本数が増えれば刺繍するスピードは速くなります。

2本分の刺繍糸の太さで刺繍するのと、1本分の刺繍糸の太さで刺繍するのでは2倍スピードが違います。

なぜなら刺繍糸の太さが2倍違うので、2本どりで1回刺繍すればいいところが、1本どりだと2回刺繍しないと面積が埋まらないからです。

手数が2倍になるんですよね。

 

じゃあなんで今までよりも手数が2倍になる1本どりで刺繍するのかといえば、2本どりよりも繊細に刺繍できて、なおかつ刺繍パーツが薄くなるからです。

2本どりだと、1針刺繍する時に刺繍糸がよれたり重なったりします。

このほんの少しの重なりが刺繍パーツの厚みとしてけっこう響いてきてしまうんです。

1本どりだと1針刺繍しても、刺繍糸は1本なのでよれたり重なったりすることがないんですよね。

 

それに、今年は作品を作りまくっているせいか、刺繍する手が慣れてきて刺繍スピードが今までよりも速くなってきています。

以前、1本どりで刺繍したいと思ったこともあったんですが、あまりにも時間がかかりすぎて諦めたんですよね。

ちょうど2022年に開催した個展用作品を作っている時だったかな。

その時の刺繍スピードだと、スケジュール的に作品が個展に間に合わなかったので諦めました。

 

 

それでずっと2本どりで刺繍していたんですが、次に出すコンクールの作品は繊細に作りたいなと思って1本どりで刺繍することにしました。

やはりね、刺繍パーツの厚さが全然違うんですよね。

花びらパーツを重ねた時の繊細さが全然違う。

もしかしたら自己満足なのかもしれませんが、自分の感覚を大事にしたいと思います。