無用爪(むようつめ)を切り忘れた2024年
無用爪(むようつめ)ってご存じですか?
子どもの頃からずっと行ってきた風習なんですが、無用爪(むようつめ)って調べてみても見つからないんですよね。
なので、知らない方の方が多いと思います。
そもそも、夜に爪を切るのは縁起が悪いという風習があるんですが、こちらはご存じですか?
「夜爪(よつめ)を切ると親に死に目にあえない」とか「夜に爪を切ると親よりも先に死んでしまう」とかの言い伝えがあるそうです。
わが家では子どもの頃から「夜爪(よつめ)を切ると親に死に目にあえない」から夜には爪を切ってはいけないと教えられていました。
いつもなら夜に爪を切ってはいけないんですが、1月6日の夜だけは爪を切っていい日だったんです。
「1月6日の夜に爪を切っておけば他の日の夜に爪を切っても大丈夫なので、ほんのちょっとでもいいから爪を切っておきなさい」と言われていました。
この1月6日の夜に爪を切ることが無用爪(むようつめ)という風習なんです。
やっと無用爪(むようつめ)の説明が終わりましたね。
ここからが本題です。
2024年はこの無用爪(むようつめ)を切り忘れてしまったんですよ。
先日、母が亡くなりました。
最後はそばにいて母を看取りたいなと思っていたんですが、今年は無用爪を切り忘れていたことを思い出し、なんだか落ち着かない日々を過ごしていました。
無用爪(むようつめ)を切っていなかったので、夜に爪を切ることはしていなかったはずだけど「母の最期に立ち会えなかったらどうしよう」と思ってしまったんです。
単なる迷信と思えばいいのですが子どもの頃からずっと行ってきた風習なので、身に沁みついちゃってるんですよね。
結果的には、母の危篤の知らせを受け取ってからすぐに入所していた施設に駆けつけ、そのまま1週間ほど施設に泊まらせていただき母を最期まで看取ることができました。
もし、母の最期に立ち会えなかったとしたら「今年は無用爪(むようつめ)を切らなかったから間に合わなかったんだ」と思ってしまったと思います。
ほんの些細なことで他の人にとってはどうでもいいことなんですが、本人にとっては気になって仕方がないことってありますよね。
そんな風習や言い伝えのようなものって、誰にでもあるんじゃないかなと思います。
たとえ調べてみて見つからないような風習でも、子どもの頃から行っていればその人にとっては大事な風習なんです。
わたしにとってはそれが無用爪(むようつめ)という風習だったということ。
きっとこれからも1月6日の夜には爪を切り続けることでしょう、たとえもう親がこの世にいなくなってしまったとしても。