ひっそりと咲かせる
「花」と聞いて、イメージするものはなんですか?
今、東京曳舟のギャラリーハイドランジアで「花」がテーマのグループ展に立体刺繍作品を出展しています。
ギャラリーハイドランジアでは毎年6月に「花」をテーマにした企画展を開催していて、わたしが参加するのは今年で3回目となります。
初めてこの展示会に参加した時にはギャラリーの名前にちなんで紫陽花(あじさい)をモチーフにした作品を作りました。
ハイドランジア(hydrangea)は英語で紫陽花(あじさい)という意味。
立体刺繍で作った青い紫陽花(あじさい)を水溜りに見立てた樹脂に浸らせた作品を作りました。
2年目は手のひらサイズの根っこ付きたんぽぽの作品を立体刺繍で作りました。
この時に思ったのは「ギャラリーにひっそりと咲かせる」
「花」がテーマの作品となると華やかなものを考えがちだけど、あえてひっそりとギャラリーの雰囲気に馴染ませた作品というのはどうだろう?と思って作った作品です。
そして、3年目の今年。
昨年の「ひっそりと咲かせる」というイメージを軸に、ひっそりと咲く花ってどんなものがあるんだろう?というところから考えていきました。
みなさんがイメージする「ひっそりと咲く花」ってなんですか?
最初にイメージしたのは花屋にあるような花ではなく、野に咲く野草。
スミレやツユクサ、ドクダミなどの花を考えたんですが、どれもしっくりくるものがなく。
時間だけが過ぎていきました。
そして、ふと街中を歩いている時に花壇が目に入りました。
最寄り駅は街路樹や花壇がきれいに整備されているんです。
その花壇に植えられていたのがパンジーだったんですね。
可愛らしいなと思って見ていたんですが、それからほかのところでも花壇にパンジーが植えられていたり、家の入り口にバンジーの寄せ植えが置いてあったりして、いろんなところでパンジーを目にしたんです。
意識したから目に入ってきたんだと思うんですが、こんなにパンジーが街中で植えられているってみなさんは気がついていましたか?
わたしはその時まで気がついてなかったんです。
これぞ「ひっそり咲いている花なんじゃないか!!」と思って、3年目の今年はパンジーの花を作ることにしました。
街中でひっそりと咲いているパンジー。
パンジーは園芸種なので誰かに植えられたものだけど、「ここに咲いてます!」って主張するわけでもなくひっそりと咲いている。
もしこれがバラだったら、もっと華やかな感じになって「ひっそり」とは咲いていないと思うんですよね。
そんなひっそりと咲いているパンジーの姿を立体刺繍で表現しました。
地面から生えているパンジーの1株。
けっして華やかではないけれど、しっかりとした存在感を放つ作品に仕上がったと思います。
2025年6月8日(日)まで、ギャラリーハイドランジアでひっそりと咲いています。
最後にお知らせです。
gallery hydrangea(ギャラリー ハイドランジア)2025年企画展
『花に囁く物語 Ep.5』
開催会期:2025/5/30(金)~6/8(日)
※最終日は17時まで
東京都墨田区東向島1-3-5
03-3611-0336
在廊しません。