今だからこそ作ることができた作品 gallery hydrangea(ギャラリー ハイドランジア)8月公募企画展出展作品
2023年8月4日(金)からgallery hydrangea(ギャラリー ハイドランジア)8月公募企画展『失くした時代』がはじまりました。
テーマは「ノスタルジー」。
今回の公募企画展では人形を立体刺繍で作っています。
いろいろと書く前に作品の写真を見ていただきましょう。
まずはデザイン画がこちら。
作品タイトルは「いつまでも待ってる」。
そして、仕上がった作品がこちら。
公募企画展募集時に描いたデザイン画では人形を立たせていたのですが、正座させた方がいいなと思い実際の作品は赤い彼岸花の前に座らせました。
この人形の本体はもちろんのこと、着ている着物もすべて自分で仕立てました。
帯も人形の身長に合わせて作り、ちゃんと後ろで帯結びをしています。
人形制作も大変だったんですが彼岸花もけっこう手間がかかりました。
彼岸花は1つの茎に6つの花がついています。
それを5本作ったので、花だけで30個。
そして大変だったのが雌しべと雄しべ。
1つの花に対して、雌しべが1本と雄しべが6本で合計7本。
30個の花だと合計210本の雌しべと雄しべが必要となります。
これを1本1本ワイヤーに刺繍糸を巻きつけて作りました。
でもね、彼岸花を彼岸花たらしめているのは、花びらじゃなくて雌しべと雄しべだと思うんです。
反り返った花びらの根元から伸びる長い雌しべと雄しべ。
このバランスが彼岸花としての輪郭を作っていると思うんですよね。
なので、210本というすごい本数だったけど、しっかり刺繍糸を巻きつけて雌しべと雄しべを作りました。
立体刺繍で作った5本の彼岸花をエポキシレジンで固定して土台を作り、そこに人形を座らています。
最初、人形も土台に接着しようと思っていたんですが人形だけで座らせることができたので土台に接着するのをやめました。
両サイドにきている彼岸花がしっかりと人形を抱え込んでくれる形になったので、人形も座らせることができました。
実は人形を座らせるってけっこう大変なことなんですよ、重心とかのバランスが難しいのです。
ここは結果オーライって感じです。
ところで、この人形の女性は何歳くらいだと思いますか?
これって見る人によって何歳くらいだと思うか違ってくると思うんです。
この人形は何歳くらいかなぁって考えてみてくださいね。
今回の作品ですが、今までの知識を総動員して作られた作品となっています。
タイトルにもあるように、今だからこそ作ることができた作品なんです。
・立体刺繍の知識
・彫塑の知識
・レジンの知識
・着物の知識
他にも気がついていないものがあるかもしれないけれど、これらのどの知識が欠けてもできなかった作品です。
なんかすごいですよね、今までのことが全部繋がっている。
全部繋がっているんだけど、その先にある何かが表現できたようにも感じています。
ここで満足するのではなく、もっともっといろんな作品を作ってみたい。
もうすでに頭の中は10月締め切りのコンクールと12月公募企画展のデザインについて考えています。
10月のコンクール出展作品はもうイメージできていて、明日から試作に取り掛かるところ。
12月のデザインはイメージできているんですが「これを作るのか…」というモチーフが浮かんできてしまってね。
ちょっと、というか…かなり躊躇するモチーフなんですが結局作ることになると思うんですよね…。
まぁ、今浮かんでいるモチーフを作るのなら作る覚悟を決めないとねって感じです。
最後に8月公募企画展のお知らせです。
『失くした時代』
開催会期:2023/8/4(金)~8/13(日)
※休廊日:火・水
gallery hydrangea(ギャラリー ハイドランジア)
東京都墨田区東向島1-3-5
03-3611-0336
今回は在廊しません。