刺繍業界のタブーに踏み込む作品制作

コピックって知ってますか?

イラストを描くためのアルコールインクマーカーのことです。

コピックを使った作品を募集する、【コピックアワード2021】という公募があり、先日、立体刺繍の作品をエントリーしました。

 

アルコールインクマーカーのコピックを使った立体刺繍作品って、どんな作品だと思いますか?

刺繍をコピックで塗っちゃったのかな?って思いますよね?

 

そうなんです。

白い刺繍糸で立体刺繍作品を作って、コピックで塗っちゃいました。

これって実は、刺繍業界から見たらタブーなんだと思うんですよね。

(そもそも刺繍業界があるのかもあやしいですが…)

 

刺繍って、色とりどりの刺繍糸を駆使して絵柄を刺繍していくものなので、そもそも出来上がった刺繍に着色するという概念がないんです。

もしかしたら、染めた刺繍糸を使って刺繍することはあるかもしれないけれど、白い刺繍糸で作ったものをアルコールインクマーカーで染めるというのは、ありえないこと。

でもそれをやっちゃいました。

コピックアワードなので、コピックを使わないとエントリーできないんですもん。

もともと、刺繍作品を染めてみたいと思っていたので、これはタイミングよくいい機会が巡ってきた感じです。

 

さらに、刺繍って糸の風合いも魅力の1つなのに、刺繍パーツ全体を樹脂でコーティングしてしまいました。

これも多分タブーだと思います。

 

立体刺繍作品の運搬を考えると、強度が弱いというのが難点でした。

立体刺繍はワイヤーと布と刺繍糸で構成されているので、ちょっとの力で形が変形してしまいます。

これも、どんな加工がいいのかいろいろ試行錯誤した結果、今回のコピックアワード2021では樹脂の中に立体刺繍作品を入れました。

 

生け花に浮き花という、花だけを水に浮かべる表現方法があります。

樹脂を水に見立てて、立体刺繡作品のパンジーを浮かべました。

と書きたいところですが、うまく浮かぶかと思ったら刺繍部分に樹脂が染み込み、全体的に水に浸ってる感じになりました。

 

樹脂が染み込んだことにより花びらのいい透け感が表現できたので、これはこれでありです。

花びらの透け感が表現できないからと、制作をあきらめていた花にもチャレンジすることができます。

結果的に自分の表現が広がりました。

 

ただ、樹脂は2液式のエポキシレジンしか使えないので、加工に手間と時間がかかります。

(硬化するのに1日から2日かかる)

早く作ればいいってもんじゃないし、そもそも刺繍にものすごい時間かかるので、そういう表現方法としてこれから取り組んでいきます。

 

ここまで長く書きましたが、公開作品はこちらからご覧になれます。

https://copicaward.com/ja/work/detail/11755

もしよろしかったらご覧ください。

 

今回は立体刺繍作品を染める、樹脂で加工するということを行いました。

これからもこうやって、今まで経験してきたことを組み合わせて、自分の作品を作っていくんだと思います。

それがどんな形になるのか、なんとなく全体像がつかめた感じです。